イベントレポート

ファンドレイジングを成功に導くNPOのマーケティングとは?【FRJ 2017レポート】

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2017年3月18日・19日にFRJ2017が開かれました。
NPO Marketing Laboではいくつかのセッションの内容をレポートします。

今回レポートするのは、「社会を変える組織」をつくることを目標に、公益組織に対するコンサルティング事業などを行っている株式会社PubliCo代表の長浜洋二氏のセッション。
セッションタイトルは『彼を知り己を知れば百戦殆うからず~ファンドレイジングを成功に導くNPOのマーケティング~』

NPOがどのようにマーケティングを取り入れていくべきか、マーケティングの考え方のコツが分かりやすく説明されたセッションの内容をレポートします。

 

「社会を変える組織」をつくる株式会社PubliCo代表 長浜氏に学ぶNPOマーケティングの秘策

株式会社PubliCo代表取締役CEO:長浜洋二氏
座間市社会福祉協議会 地域福祉活動計画策定アドバイザー
一般社団法人かわさき市民しきん 評議会
公益社団法人シャンティ国際ボランティア会 専門アドバイザー

 

PubliCoとは?

セッションはまずPubliCoの紹介からスタート。
NPO Marketing Laboの読者の方なら知っている方も多いかもしれませんが、PubliCoは、「社会を変える組織」をつくることを目的に、コンサルティング事業、スクール事業(人材育成)、セミナー事業(講座・研修等)、メディア事業(情報発信、調査・研究)を行っている会社です。
これまでに、特定非営利活動法人エティック、認定NPO法人テラ・ルネッサンスなどのNPOや、島根県の雲南市役所や日光CSR推進連絡会などの地方自治体など、様々な団体への支援実績があります。

 

NPOマーケティングの定義とは?

PubliCoでは、NPOマーケティングを下記のように定義しています。

社会全体に対する利益をもたらすことを目的として、受益者や支援者を顧客と位置づけ、社会に対する新しい価値観の提供や社会課題解決のためのしくみをつくること

長浜氏によるとNPOの活動のタイプは『価値提供型』と『課題解決型』の2つに分かれるそうです。どちらか片方のタイプに属するというよりは、両方のタイプにまたがって活動しているタイプのNPOがほとんどのようです。
タイプによってマーケティングの考え方、施策、マーケティング活動の対象とする人が変わってくるので、自分が関わっている団体がどちらのタイプに比重を置いているのか見極めることが重要だそうです。

またNPOの活動の対象をしっかり把握することも重要だそうです。
対象は、NPOの製品やサービスなどを受け取る『受益者向け』、そしてNPOが活動していくために寄付や募金などで貢献してくれる『支援者向け』の2つ。

NPOのマーケティング・プロセス

マーケティングの定義と対象をしっかり紹介した上で、長浜氏はNPOにおけるマーケティング・プロセスを説明。長浜氏によるとマーケティングは以下の6つのプロセスで進めていくことができます。

①課題認識
まず課題を認識すること。資金が足りない、イベント開催しても人が集まらないなどNPOが変えている問題は様々。まずは自団体の組織としての課題を認識することが重要。

②環境分析/現状認識
なぜ自団体にそのような課題があるのか、環境分析。内部環境分析では自団体の強みや弱み、外部環境分析では受益者、支援者、共同パートナー、競合(同業者、同じような課題に取り組む団体)、マクロ環境(政治、経済などの動向、自団体活動に影響を与えそうな法律、新しいテクノロジーなど)を分析し、現状を認識すること。

③ターゲット設定
優先順位をつけてマーケティング活動のターゲットを絞り込む。ターゲットとは働きかける相手のこと。

④ポジショニング
自団体と他団体を比較し、自団体がどのようなポジションにいるかを把握。同じような活動をしている団体と比較して、自団体の魅力、優位性は何か、明確に打ち出せるようにするべき。なぜ自団体の活動がいいのか、ターゲットが共感するだけではなく、納得して行動に移すところまでアプローチすることが重要。

⑤施策立案
5つのC(後述)を確認しながら立案。

⑥実行・改善
マーケティングを実行に移す前に前に指標、予算決めを正確に。どこまでやれれば合格点か、事前に決めておくこと。

 

NPOマーケティングの”5C”とは?

次に、マーケティング・プロセスの施策立案を考える際に重要となる5Cが紹介されました。5Cは、Customer Value、Cost、Convenience、Communication、Comfortの5つの頭文字をとったものです。

Customer Value
自団体が受益者や支援者にどのような価値を提供できるのか明確にする。

Cost
受益者や支援者が負う負担。必ずしもお金だけではなく時間、身体、心理、感覚コストなど、お金以外の負担が存在することを認識。

Convenience
受益者や支援者に対して、どのような工夫をすれば、相手の負担が軽くなるか、また便利だと感じてもらえるか。例えば、寄付を募る際にはインターネットに対応しているのか、イベントを開催時には交通の便が良い場所で開催しているかなど、サービスの提供手段や時間や場所に気を配り、受益者や支援者する利便性を向上することが大事。
せっかく寄付に興味をもってくれた支援者がいても、寄付や問い合わせをスムーズに受けられないと、せっかくの機会を逃してしまう可能性も!

Communication
【広告】
広告を買うこと。インターネットの広告は費用対効果が高いが、なかなか広告費を出せるNPOが多くないことも現実。

【販売促進】
背中の最後の一押し。会員キャンペーンなどの仕掛けなど、あと一歩で行動を起こしそうな支援者に対する最後の一押し。

【人的営業】
企業訪問(企業寄付、協賛金)など企業との関係構築やファンドレイジング。

【パブリシティ・PR
対象はメディア。プレスリリース配信やメディア向けイベントの開催など、メディアに取り上げてもらうように活動する。

【口コミ】
ソーシャルメディア。どんな時間に、どんなコンテンツを発信したら効果的なのか、分析、工夫が必要。

上記すべてを一度にやる必要はなく、団体の成長スピードやフェーズ、ターゲットなどを鑑み、組み合わせて展開することが重要。

Comfort
自団体のスタッフの教育ができているか、仮にイベントを開催したときにイベントの会場雰囲気や準備物はしっかりしているか、イベントのプロセス(告知、受付、当日の対応、後日のお礼など)の一連の立て付けがスムーズにできているか、受益者や支援者が受けられる快適さのこと。

 

認定NPO法人育て上げネット事例

セッションの後半は、実際にPubliCoで実施された事例を参照しながら、前半の内容を振り返りました。

事例として紹介されたのは認定NPO法人育て上げネットさん。同団体が事務所を構える立川市での地域活動を、キフボンでの寄付に結び付けることを目的としたプロジェクトが紹介されました。

①目標・目的の設定
何を目標として、何のためにやるのか?

②現状の課題と状況把握
現状の寄付はどうなっているのか?なぜ効果的に寄付につながっていないのかを分析。

③課題解決のアクション
ターゲットは?アクションは?スケジュールや予算も事前に細かく設定しておくことが重要。

④費用体効果/KPI
実際にプロジェクトを始める前に、アプローチ先の目標数、寄付金額、費用対効果なども細かく詰めておくこと。これにより、プロジェクトが終わった後に反省を生かして、PDCAを回していくことができます。

プロジェクトを成功させるためにも、実際にスタートさせる前に、ここまで細かく決めておくが重要ということですね。
この事例については、参加者の中からも「とても役に立ちそう」「この例を参考に今後のプロジェクトを展開していきたい」といった声も聞かれました。

 

自団体をきちんと理解することが大切

以上で長浜氏のセッションは終了。
NPOのマーケティングについて、具体例を交えながらとても丁寧に説明されたセッションでした。
この記事を読んでいる方も是非、参考にしてみてはいかがでしょうか。

 

※本記事は、セッション講師から許可を得て、執筆・公開しております。

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