イベントレポート

支援者の獲得・育成・活性化!きっかけを得たら今すぐ実行に移そう【FRJ2017レポート】

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今回は株式会社セールスフォース・ドットコム、Sansan株式会社、株式会社マルケトの3社合同によるセッションの様子をレポートします。

タイトルは『ファンドレイジングを加速するテクノロジー 支援者獲得・育成・活性化で今日からできる事』。

支援者獲得・育成・活性化』をキーワードに、3社の提供サービスが各段階でどのように課題解決に関わるのか、発表されました。

 

各社・講師紹介

株式会社セールスフォース・ドットコム

株式会社セールスフォース・ドットコムは、CRM/顧客管理やSFA/商談管理のクラウド型システムを提供する企業です。本社はアメリカ。
世界のSFAシェアに41%、日本のSFAシェアの60%を占めており、大企業から小規模企業まで、多くの企業を幅広くサポートしています。
セールスフォース・ドットコム社では、『1-1-1モデル』として、テクノロジー、リソース、就業時間のそれぞれ1%を社会貢献に充てています。
本セッションには講師として同社、上田圭祐氏が登壇されました。

 

Sansan株式会社

株式会社Sansanは、法人向け名刺管理サービス『Sansan』と個人向け名刺管理『Eight』を提供する企業です。松重豊さんが出演するCMを見たことのある人もいるでしょう。
法人向け名刺管理サービスにおいて国内トップシェアであり、「最も選ばれる名刺管理サービス」というフレーズも聞き覚えがあるかもしれません。
名刺管理サービスSansanのNPO法人向けプラン『Sansan for NPO』を提供しています。
講師は同社、石野真吾氏。

 

株式会社マルケト

株式会社マルケトは、マーケティング専業の世界最大手のエンゲージメントプラットフォームの開発・提供のほか、ユーザー、パートナー、マルケトのメンバーで構成するエコシステムで、ワントゥワンのコミュニケーション実現を支援している企業です。
セールスフォース・ドットコム社と同様、アメリカで創業された企業です。
国内ではユーザー会の会員数500名を超え、NPOでも世界で100団体、国内で5団体が利用中です。
同社、稲垣亮太氏が講師として登壇されました。

 

各社の紹介の後、セッション参加者同士のグループワークが行われました。
席の近くの人と組み、自己紹介とセッションに参加することで何を持って帰りたいかを発表しました。

セッション自体のゴールは、

自団体の
・ドナージャーニー
・ファンドレイジングに関する課題
・テクノロジーによる解決策
を考える「きっかけ」

とすることが定められました。
セッションは最初に参加者各自の目的、セッションのゴールを明確にした上で本題に移りました。

 

寄付者を増やすために

1.支援者全体を把握するためのドナーピラミッド

最初に、支援者の全体を把握するための『ドナーピラミッド』が紹介されました。
ここでは潜在的な支援者も含まれています。

ドナーピラミッドとは、寄付者(ドナー)が団体を知ってから寄付するまでの各段階を図示したものです。ドナーピラミッドをつくることで、自団体を知ってもらってから寄付に至るまでどのようなフェーズがあるかを認識し、自団体がどの段階で停滞しているのか、どの階層が薄いのかを分析する手立てとなります。
「知る・聞く⇒問い合わせ⇒イベント参加⇒スポット寄付⇒マンスリー寄付⇒遺贈」と段階が上がっていきます。
認知のみ(知る・聞く)の層から小額寄付、高額寄付に至るまで、だんだんと人数が減少する傾向があるため、形がピラミッド状になります。

では、ドナーピラミッドにおいて、最上層の遺贈の数を増やすにはどのような手段が考えられるでしょうか。

セッションでは、「上の階層へより多く、より早くあげる(=母数を増やす)」、「歩留まりをよくする(=上の階層にあがる率を高める)」の2つが答えとして紹介されました。

では上の階層に上げて歩留まりをよくするには、どのようなことが必要なのでしょうか。

 

2.上げる・歩留まりのためのドナージャーニー

次に上の階層に上げる・歩留まりをよくするためのフレームワークとして、『ドナージャーニー』が挙げられました。
寄付者がどのような順路(ジャーニー)で寄付にいたるのかを分析するためのフレームワークです。
企業で用いる、顧客が購入に至るまでを分析する『カスタマージャーニー』の寄付者版です。

セッションでは実際に現場で用いられているドナージャーニーが紹介されました。
寄付者の各階層における、

▼実際に目に見える行動・イベント
▼目に見えない心情・心の声
▼課題の仮説

をまとめます。

このドナージャーニーを用いて、各階層で次の階層に上がるために何がボトルネックになっているのかを書き出してみましょう。
各ボトルネックを排除するための解決策が、上の階層に上げ歩留まりをよくするための解決策です。

解決策の例として、セッションではテクノロジーによる策を紹介していました。

・広告出稿
・メールアドレス獲得
・メールマガジン配信
・イベント管理
・寄付者情報一元管理

ドナージャーニーを用いて、各階層での阻害要因を明確にし、解決策を1つずつ実行に移すことが必要です。

 

3つのフェーズ『獲得・育成・活性化』

次に各階層を『支援者の獲得』『支援者の育成』『支援者の活性化』の3つに分けて、具体的な事例とともに紹介されました。

1.支援者の獲得

支援者の獲得については、名刺管理サービスの株式会社Sansan石野氏から。
日本ブラインドサッカー協会の事例動画を見せていただきました。

日本ブラインドサッカー協会では、名刺管理ツールSansanを利用することで、メディアや支援者、支援者になり得る方の情報を全体で共有し、コミュニケーションロスの解決に繋げました。
Sansanでは、「誰と、いつ、どこで会ったか」を管理し、団体内で共有することが出来ます。

メディアの連絡先を一括で管理しておくことで、PRやリーリス情報をいち早く送ることが可能になりました。
メディアが協会をとりあげることで、社会への認知が高まり支援者を集めることができます。

また、Aさんが一度会ったことのある支援者や支援者になり得る方に、同じ団体のBさんが接触する際、Sansanによって「Aさんと既に会っている、どのような人なのか」ということを事前に確かめることができました。
Sansanを活用することで、セクターをこえた関係性の構築が容易になります。

 

2.支援者の育成

支援者の育成については、株式会社マルケトの稲垣氏から。
認定NPO法人かものはしプロジェクトの事例を紹介していただきました。

かものはしプロジェクトでは、マルケトのマーケティングオートメーション(MA)ツールを用いることで、メールの開封率・クリック率を高めることに成功しました。
18%だった開封率がMAを利用することで、最大89%、常時70%前後まで上昇したそうです。
以前はすべての人に対して同一の内容を一斉送信していましたが、MAを用いることでセグメントを分けたメール送信が可能となりました。
行動履歴から興味関心が高くなっている人に、高くなったタイミングでメールを送信したり、逆に退会しそうな行動を見せた人に引き止めるアプローチをとったりすることができます。

また、年間で70回ほど開催しているイベント関連のメールも自動送信ができるようになったことで、作業ボリュームの削減、人的ミスの防止にも役立ちました。
メール配信に掛かる作業時間の1/3が削減されたそうです。

3.支援者の活性化

支援者の活性化については、株式会社セールス・フォースの上田氏から。
エイズ孤児支援NGO Plasの事例を紹介いただきました。

エイズ孤児支援NGO Plasでは、寄付拡大のため、マンスリーサポーターの獲得に力を入れることになりました。
そこでSalesforceを導入し、支援者の属性を分析したり、特定の支援者が今までどのようなアクションをとったかの履歴を管理したりが可能になりました。
結果、マンスリー寄付者が4,500名から275,000名へ拡大し寄付額は305%増加

Salesforceの導入前では、支援者と電話をする際に相手の具体的な情報を用いて会話をすることができませんでした。
導入後では、相手の行動履歴が分かることで、「昨年の~~のイベントにお越しいただいた〇〇様」として会話に以前の行動を盛り込みながら、パーソナライズした対応をとることが容易となったのです。
自分の今までの行動について、「きちんと覚えてくれていた」と支援者が感じることで、支援者との関係をより深いものにしていくことができます。

また、Salesforceとwebサイトや決済システムを繋ぎ込むことで、webサイトからの申し込みやメルマガ登録から得た個人情報の管理などが簡易化し、年間240時間の作業時間を削減できました。

 

自団体のこと、課題、解決策を考えるきっかけに

今回のセッションを聞き、このように3社のツールを活用することで、

・得た連絡先を管理
・関心度合いに合わせてメールを送信
・イベントに呼び込み寄付を集める
・寄付に至らない場合は、パーソナライズした持続的な対話により関心を高める
・繰り返し、どの相手を優先すべきか、優先度の順位付けを行う

という流れで、支援者を生み、育て、絞り込むことができることが分かりました。

カルミナ社のセッションレポートでもお伝えしたように、ただ「〇〇というツールが良いらしい」とツールを導入するだけでなく、「〇〇を使い~~し、さらに△△で~~することで、より多くの支援者を獲得しよう」と、目的に至るまでのストーリーを考えた上でツールを使いこなすことが重要なのだと感じました。
そしてそのストーリーを構築しツールを正しく使いこなすためには、自団体の課題を的確に把握、分析することが必要です。

今回のセッションを通じて、解決策の分からない課題に立ち向かうためのきっかけを得られた団体も多かったのではないでしょうか。
何事もできることから実行に移さなければ始まりません。
ドナーピラミッドやドナージャーニーを用いた分析など、今すぐにできることから始めていきましょう。

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